1.ハードルドリルのやる目的
【基礎】
▷詰め (H間隔1歩程度で詰めて行うハードル高さは腰が落ちないギリギリの高さ。
⑴股関節回し
⑵抜き足+リード足
⑶空中切り替え腿上げ 左右
⑷リズムで抜き足+リード足
⑸抜き足だけ高くするドリル
▷歩き
⑴抜き足
⑵中央抜き足+着地
【中級】
▷3スキップ
⑴3歩スキップ抜き足
⑵3歩スキップ中央抜き足+着地
⑶ギャロップスキップ
ハードルを跳ぶ前に必ずやると言っても過言ではないハードルドリル。
先輩たちがいつもやっているから、
とりあえずアップになるからと、
日々のハードルドリルをただのアップと思いなんとなくやっていないだろうか?
簡単な概要
ハードルドリルにはやる目的とそこから得られる効能がきちんとあります。
それを理解した上でやるのとそうでないのとでは、得られるものは大きく変わってきます。
この記事では、ハードル選手がやるハードルドリルの目的を明らかにし、
その目的に沿った最適な順番、そして各ドリルで意識する具体的なポイントなどを解説していきます。
この記事を読むと良い人
・先生や先輩からハードルドリルをちゃんと教わったことがない選手
・ハードルが早くなりたい選手
・なぜやるのかハードルドリルの「意味」を知りたい選手
①ハードルドリルのやる目的
それはズバリ、『ハードルをベストコンディションで飛ぶための体つくり』
ここでいう体作りは、俗にいう筋肉をつけるや体幹を鍛えるなどの話ではなく、
ハードルを跳ぶ際に使う体の重要部位に刺激を入れ、ベストな動きが出せるように仕上げていく工程になるので、ステーキでいう塩胡椒かけたり、揉んでおいたり、おいしく仕上げるための下準備だと思ってください。
ハードルドリルにおいての下準備は、抜き足をあげる中臀筋や踏切の要である大臀筋など、
ハードリングを行うために必要な体の部位に刺激を入れることで『神経伝達』をより早くするということです。
”神経伝達をより速くする” というのは、
”頭で思った通りの動き” を ”体で再現すること”
のスピードを上げていくことを指します。
熱い鉄板を触ったときにとっさに手を離す”反射の動き”、あの筋肉の反射スピードを
ハードリングの神経伝達でも出来るようになることを目指して、
ハードルドリルで刺激を入れていきましょう!
ハードルドリルをやる目的が「ベストコンディションを作るため」ということがわかれば、
ハードルのベストコンディションとは何かを考える必要があります。
大別すると、ハードルを跳ぶためのベストコンディションに必要な要素は、
・踏切
・抜き足兼着地
・間の刻み
これらの要素を達成するためには、実はさらに根底にある『反発』『伸展』などの理論の理解と習得が必要になるのですが、より深い話になるため、そちらはまた別の記事で紹介しているので下記のリンクよりご覧ください。
この記事では、ハードルドリル必須の三要素(踏切、抜き足兼着地、間の刻み)にのみ言及します。
それでは、ハードルをベストコンディションで飛ぶために必要な、踏切・抜き足・着地のハードルドリルを一緒に見ていきましょう!
②ハードルドリル紹介(目的と意識するポイント)
ゆっくり文章を書いて綺麗な字が書けない人が、ものすごい速さで字を書いても綺麗には書けないように、
ゆっくりなスピードで正しいハードリングができない人が、いきなりハードルを跳んでも速く飛ぶことは難しいです。
その場限りで少し良い記録が出てもそれ以上の成長はあまり見込めません。
それは正しい動きができていないからこその、偶然の産物だからです。
よって、まずはその場で動きだけを意識するドリルから、歩き、走りと
徐々にスピードを上げていき神経伝達のスピードも一緒に上げていきましょう!
【基礎】
▷詰め (H間隔1歩程度で詰めて行うハードルドリル。 高さは腰が落ちないギリギリの高さ。)
⑴股関節回し
目的:抜き足の可動域を広げる。また滑らかに回るようにするため。
→良きでは写真。最終的には動画。
→意識するポイント: 体はまっすぐのまま、股関節だけをぐるりと回して、ほぐしてあげるイメージ。また高さと前後の幅も大きく回すよう心がける。
刺激を入れる部位:股関節
⑵抜き足+リード足
→目的:ハードル を飛ぶ際に意識することを最小の動きで再現する。ここで動きが崩れてはいけない。
→写真→動画
→意識するポイント:リード足をあげる際は腰が落ちルコとと後傾してはいけない。むしろハードルに対して前のめりになり倒れる意識で体を乗り込ませる。リード足が超える際、軸足側で体を押し込んであげると腰が落ちずかつ後傾せずに乗り込める。リード足の着地と同時に、体もハードル を超えて、腰が軸足になったハードルに乗れるようにする。抜き足はハードル を抜いた後、膝を高くして胸の前に来るようにする。この時、腰がぐいっと前方に出てくるようにすると高い抜き足にすることができる。刺激を入れる部位:中臀筋
⑶空中切り替え腿上げ 左右
→目的:滞空時間を長くする。
→意識するポイント:空中で足を切り替えるためには、軸足での反発が必要になる。また着地の際に軸足でしっかり地面を捉えて、力を受け止めるインターバル走をより刻んで走れることにつながります。
刺激を入れる部位:中臀筋
⑷リズムで抜き足+リード足
→目的:少し速い動きで踏切足→抜き足→リード足→着地足への重心の移動を行いハードリングの基礎の流れを小さい動きで習得する。
→意識するポイント:ここまでに行ったドリルで意識したことを全て意識して行う。特にリード足と抜き足が速くなるため、どちらも後傾したり腰が引けないようすることを特に気をつける。
刺激を入れる部位:中臀筋
⑸抜き足だけ高くするドリル
→目的:抜き足に高さを出させる。
→意識するポイント:抜き足が高くなっても、体の軸が斜めになったり、体がよじれたりしないようにする。抜き足を高くすることで、まずはハードルに引っかかりにくくなることと、着地の際により走りに近い自然な形での履行ことができる。
刺激を入れる部位:中臀筋
▷歩き(距離感と移動方法:14〜16足、3歩歩き)
⑴抜き足
→目的:抜き足の前後の動きで前に進む。
→意識するポイント:ハードル間のインターバルが小さい歩幅では3歩で渡れないため、抜き足を持ってきた際の腰の押し込みと着地足の押し込みで前への推進力をもらう。抜き足の”高さ”だけでなく”前後の幅”を大きくする。ただし大きく前に持ってきた抜き足の着地位置は、腰の真下に限る。腰より前に着地するとブレーキになるからです。
刺激を入れる部位:大臀筋
⑵中央抜き足×着地
→目的:これまで意識したリード足、抜き足の軸移動などをよりスムーズにして一連を流れを作る。
→意識するポイント:歩きのスピードを落とさないままハードルをまたいで行く。リード足、抜き足をよりスムーズにブレーキをかけないようにする。
刺激を入れる部位:大臀筋
【中級】
▷3スキップ(距離感と移動方法:14〜16足、3歩スキップ)
⑴3歩ステップ抜き足
→目的:速いスピードの中でも抜き足をこれまでたった動きを再現する
→意識するポイント:抜き足の着地時に地面を押し込むよう意識しよう。
刺激を入れる部位:中臀筋
⑵3歩ステップ中央抜き足×着地
→目的:これまで意識したリード足、抜き足の軸移動などをよりスムーズにして一連を流れを作る。
→意識するポイント: 抜き脚を持って来る際にスキップで少し体が浮くので、そのあとの着地で腰が潰れないようにする。
⑶ギャロップスキップ
→踏切時、大臀筋での押し込みを習得
→目的:踏切の強化
→意識するポイント:高く前に跳ぶよう意識する。踏切足はふいきった結果後ろに残るようにする。しっかり押し込めていると空中で後ろの足が残った形になる。着地寸前で足を引き寄せ流ようにする。
【上級】
▷足踏み(距離感と移動方法:その場足踏み、腿上げ後その場で)
⑴その場タターン踏切 (踏切=タタンの速さ×押し込みの強さ)
→目的:踏切に強化。タタンの速さと押し込みを強化する。
→意識するポイント:踏切足と遊脚(逆足)のシザースをなるべく速くする。このスピードが踏切時のハードルを通り抜け流速さの要。タタンの後は、母指球で地面をしっかり捉え、腰を押し込む。さて上級編ではついに、実際にジャンプしてハードル を飛び越える動作が入ってきます。ここではこれまで意識してきたことを跳ぶという行為の中で、バランスを崩してしまったり、バラバラにならないよう制御できるようにしましょう。
▷走り (距離感と移動方法:16足、3歩刻み走り)
⑴刻み3歩 (距離感と移動方法:16足、3歩刻み走り)
→目的:実際にハードリングのフォームと着地後の刻む動きを連動させる。
→意識するポイント:リード足は自分から下ろさず、体が降りてきたろころに下ろす。リード足が詰まって腰が引けないよう間の走りは速く刻む。速い腿上げのような動き。
⑵1歩ハードル
→踏切のスピード (距離感と移動方法:14〜16足、1歩走り)
→目的:踏切の強化、踏切で加速する
→意識するポイント: 地面と接するポイントがリード足と抜き足の接地だけなので、その2つの接地だけで加速できるようにする。踏切のみにおいての加速を練習するため、初めの頃は最初の助走で勢いをつけすぎないようにする。
⑶3歩刻み走りドリル×10〜12台(間隔16歩)
→目的:インターバル間を一歩一歩力が伝わった走りできざむ。
→意識するポイント:高速で腿上げをしてきざむ。適当にきざまず、一歩一歩しっかり地面を押し込んできざむ。
今回紹介したドリルが、体のどに部位に刺激を入れ、なんのために行うのかを考えながら
取り組むことで、踏切・抜き足(兼着地)・間の刻みが万全の状態で行えるようにそれぞれの体の部位をベストコンディションに仕上げてくれます。
一連のハードルドリルを行った後、神経伝達のスピードが上がり速い速度の中でスムーズなハードリングが行えていれば、ハードルドリルの目的は達成できたのではないでしょうか。
③まとめ
ハードラーの皆さんは毎日のように接するハードルドリル。
『ハードルをベストコンディションで飛ぶための体つくり』という目的を
きちんと意識した上でやることで、日々の練習が、
目的から逆算した”意味”のあるものになります。
しかしながら、必ずしも全ての選手が、このようなことを部活で習うわけではありません。
そういった教わらずになんとなくやる環境で育った選手たちに、
少しでも競技力向上の後押しができる良質な記事を作って行けるようこれからも尽力します。
「速くなりたいハードル選手のためのハードルドリル講座」を読んでいただきありがとうございました!!
これからも陸上競技に関するノウハウを発信していきたいと思います。
持続的にサイトを運営していくためにも、皆様のご協力が必要です。
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まとめ
ハードルドリルは、「ベストコンディションでハードルを跳ぶための体づくり」
→神経伝達をより速くする
→股関節の可動域を上げる
→一連の流れをスムーズにする
→踏切の強化
→ハードリングフォームと着地の連動性強化
コメント失礼します。
記事読ませて頂きました!一部、動画が見れないところがあったので、恐縮ですが修正して頂けませんか?💦
ゆうた様
記事を読んで頂きありがとうございます。
ご指摘の通り、動画が見れない状況でしたので、見れるよう修正いたしました。
ご不便をおかけして申し訳ありませんでした。