野球選手のイチローは、バッターボックスで袖をまくりバットを投手の方に掲げる。
世界で最も稼ぐサッカー選手クリスティアーノ・ロナウドはフリーキックを蹴る前、5歩下がって 仁王立ちする。
世界最速の男ウサイン・ボルトは、スタート前に胸の前で十字を切って上を見上げる。
プレーの前に行うある決まった一連の動作を『ルーティーン』と呼びます。
スポーツ界の歴史に名を残す一流の選手は、独自のルーティーンを持ち試合に望んでいます。
この記事では、ルーティーンとは一体何なのか、またどのような効果があるのか解説していきます。
②ルーティーンとは
定義 一連の同じ動作をすること
ルーティーンには、主に以下の3つの効果があります。
1)成功の妨げとなる思考や行動を防ぐ
2)不安や緊張を和らげ、心を整え、集中力を高める
3)プレーの確実性を高める
https://one-forward.com/index.php?QBlog-20180813-1
一瞬のパフォーマンスに懸けるアスリート達にとって集中力は必須のものであり、それを引き出すルーティーンはベストプレーを引き出すきっかけとなる心理スキルと位置づけられています。
アスリートが身につけている技術の一つであると言えます。
ルーティーンの種類 3つのルーティーン
『ウェイティングルーティーン』(本番を待っているときに行う): 音楽を聴きながら気持ちを落ち着かせたりする
『プレ・スタート・ルーティーン』(本番直前に行う):円陣を組んだり、理想のプレーをしている自分をイメージする。
『プレ・パフォーマンス・ルーティーン』(プレー直前に行う):アスリートがパフォーマンスを発揮する直前に行う。スタート前の十字を切るなど
このように状況や場面に応じたルーティーンがあるので、自分にあったルーティーンを確立できると良いでしょう。
週刊少年ジャンプで連載していた『トリコ』という美食屋グルメ漫画には、イメージした理想の自分の姿が現実になるという『アルティメットルーティーン』という最強すぎる技が存在します。
これは行き過ぎた表現かもしれませんが、プレ・スタート・ルーティーンの大切さを表現しておりアスリートには非常に勉強になる描写でした。
ルーティーン目的としては、いつもどおりの行動をトリガーにして自信を保ち、邪魔な思考を排除し、集中力を高めることにあります。
そのような点からもアルティメットルーティーンのように、イメージすれば既に勝っていると思い込み自信をつけることは非常に効果的だと思います。https://one-forward.com/index.php?QBlog-20180813-1
③研究結果 ルーティーンで集中力向上
実際にルーティーンによって集中力が上がることは、2017年に山口県立大学の研究により発見されています。
学生13人を対象にダーツ、または計算や記憶の作業を課す実験が行われました。
実験の前に3つのグループに分けられる。
・数日間ルーティンをするグループ
・実験の直前のみルーティン動作(直前に形だけ)するグループ
・何もしないグループ
脳波を測定した結果、ルーティン動作により、ダーツと記憶作業中の集中力が増し、さらに、ルーティン動作により、ダーツ作業の精度が向上した。
結果として、試験のスコアはルーティンをしたグループのみ瞬間的な集中力が他のグループより高い値で更にばらつきが少なくなることが分かりました。
研究者達の考察として、ルーティンをすることによってリラックスして集中している時に出てくるα2波と緊張して集中している時に出てくるα3波の両方が出てくるからなのだという。
④ルーティーンはゲン担ぎと何が違うのか?
ゲン担ぎとは
ゲン担ぎは、ある物事に対して、以前に良い結果が出た行為を繰り返し行うことで吉兆をおしはかること。(wiki調べ)
過去にやってみた結果、良い成果が出たときのパターンを繰り返し行うことで、同じように良い成果を出そうとする決まり事のようなもの。
例えば、
◯毎年神社で神頼みをする。
◯勝った日と同じパンツを履き続ける
◯試合の日には、必ずカレーを食べる
過去にうまく行ったという理由だけで、まだ見えない未来への根拠のない期待値を上げる行為です。
ルーティーンの本質
それに対し、ルーティーンとは、今現在に集中するためにプレーの前に選手が一定のパターンの動作をとること。メンタルコントロールのひとつの方法です。
事前に決めた動作の流れを、いつも通り確実に実行することで、自分でコントロールできる、「いま・ここ・私」にフォーカスでき、不安や緊張が入る余地が無くなり、練習通りのパフォーマンスを発揮できる可能性を高めることができます。
試合やレースなど”非日常的な自分”の状態を”いつもどおり”に整える事で、実際パフォーマンスに直結する現在の自分に意識を向け修正ができるので、根拠のある期待値となるのです。
自分でコントロールできることには自信が生まれますからね。
大きな違いはその行為に根拠があるのかないのかということです。
普段から準備をしてきて、当日の試合でその成果を出せるものは、積み重ねてきたという根拠が産まれます。
一方過去の出来事に執着するだけで、行う行為は積み重ねも準備もなく、そこに根拠は産まれません。
ルーティーンはいつもの練習で積み重ねれれる技術と考えられ、ゲン担ぎは過去の出来事から再度成功体験を願う神頼みに近いのかなと考えられます。
ただ、ゲン担ぎも毎回同じ行動を取るということが決まっているため、他のことには注意を払わずにすみ、無駄な思考を除き集中力を高めるという点では、習慣系のゲン担ぎは意味のある行為だと思うのでやって損はないと思います。
ただベストな選択肢ではないということは踏まえて、そのゲン担ぎが果たしてパフォーマンス発揮を邪魔してないか考えてみてもいいかもしれません。
例)同じ靴下を履き続ける → ボロボロで滑り止め機能等擦り切れている靴下履く意味ある?とか 当日の朝は何も食べないとか → エネルギー的にそれが正しいの?とか
⑤まとめ
- ルーティーンは、思考を洗練させる、集中力を高める
- ルーティーンは、不安や緊張を和らげ、心を整え、集中力を高める
- ルーティーンは、プレーの確実性を高める
- ルーティーンは、心理スキルとして技術の一つである。
- ゲン担ぎは、根拠がない神頼み
参考文献
自信や集中力がUP! プレ・パフォーマンス・ルーティーンとはhttps://mainichi.doda.jp/article/2018/10/01/414.html
五郎丸だけじゃない 一流アスリートのルーティーンとは いろんな選手のルーティンが解説されている。https://matome.naver.jp/odai/2144290397047345901
プロスポーツ選手の【ルーティン】のメリットを解説!進撃のクライマーブログhttps://hiroki-mkun.hatenablog.com/entry/2020/02/22/185046
ルーティン動作が非アスリートの集中力と作業精度に及ぼす効果 Effects of pre-performance routines on concentration and task accuracy in non-athletes 山口県立大学 進 夏未, 當山 美唯, 東 美空, 田中 和子, 吉村 耕一 https://www.jstage.jst.go.jp/article/sst/6/1/6_85/_article/-char/ja/
ウェルネスライフを想像する toshiのブログhttps://ameblo.jp/webtoshi/entry-12085798669.html
ゲン担ぎとルーティンの違い 学習塾桜塾http://sakura19.com/archives/11057.html
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