試合でのパフォーマンスを発揮する上で究極の集中は競技力と同じくらい大事なものです。
「ゾーン」「フロー」「ピークパフォーマンス」と呼ばれる理想的な心理状態は、究極の集中状態であり、アスリートであれば何度かは経験したことがある人もいるかも知れません。
しかしそう何度も体現できるような代物ではないことも事実。どうやってそんな高い集中力を作り出すのかきちんと理由を理解できていない人も多いのではないでしょうか。
集中力を作り出す「要素」を分解すれば、効果のある練習を見極めることができ必ず集中力を高めることができます。
やることは受験勉強と同じで、
どうやったら志望校に合格できるのか。
そのために何の科目にフォーカスするのか。
フォーカスした科目で何点伸ばさなければいけないのか。
を考えそのために勉強をしますよね。
集中力を鍛えるような心理的トレーニングもそれと同じです。
要素を分解し、効果的な練習を積むことで鍛えることができます。
今現在、集中力がなくても落ち込む必要はありません。
ただ「集中力」の定義を知らないだけ、
「集中力」の仕組みを知らないだけ、
「集中する」技術を知らないだけなんです。
今回は前回の記事でも紹介した「ルーティーン」を使ってさらに集中力を高める方法を、
集中力のメカニズムと共に解説していきます。
先に述べておきますが、
パフォーマンス前に行うルーティーンだけでも集中力を高めることはできます。
(ルーティーンという決まった動作に集中力を高める効果があると実験で検証されています)
今回の記事ではそのルーティーンをさらに質の高いものにするための実践講座です。
おすすめの読者
- 今のままのルーティーンでいいのかな?と思う方
- 試合前の集中力をすこぶる高めたい方
- ゾーンに入る方法を知りたい方
ルーティーンをより詳しく知りたい方は前回の【ルーティーンとは何か】の記事を御覧ください。
2.要素分解 集中力の答え
集中力とは何か?
一つのことに対して100%の意識を割けるかどうかということです。
フロリダ大学社会心理学研究科長であり心理学者でもあるRoy F. Baumeister氏は
「集中とは「余分なものの排除」と「タスクへの注目」の2つが合わさったもの」
と述べています(参照1)
まさに、これこそが集中力の本質です。
「他のことに意識が向いていないか」「注目したいことだけに意識が向いているか」
たったこれだけです。
なので一つのことに意識を向け他のことには意識を向けなければ、容易に集中できるはずです。
しかし、その「他のことには意識を向けない」ことがものすごく難しいんです。
試合や大会など、人が大勢いる状況ではあらゆる情報が入ってきてしまい、それが雑念となり頭の中に残り続けます。それがストレスとなり意識が四方八方へ向き集中ができなくなっています。
それではどうすればこの「雑念」を無くすことができるのでしょう。
その答えのヒントは皆さんの「脳みそ」の中にあります。
集中力の鍵は脳みそにある!
人間の脳みそからは常に見えない脳波という電磁波がでています。
▷脳波の種類
β(ベータ)波【14~30Hz】 ・・・緊張や不安、イライラしているストレス時に出る
α(アルファ)波【8~13Hz】・・・意識が集中している、リラックス状態に出る
θ(シータ)波【4~7Hz】 ・・・レム睡眠状態、深い瞑想時に出る
(参照2)
というようにそれぞれの脳波が脳の状態を表しています。
人間は普段起きている際は、基本的にβ波が出ていると言われており、大会や試合などの極度の緊張・ストレスがかかるイベント時にはこのβ波が非常に高まります。
そしてここが重要❗
瞑想を行うことにより、集中力を司るα波とθ波の活動が優位になり、
さらにβ波の活動が著しく下がることが、これまで科学者達が最新技術を使い行った研究成果でわかっています。
実際に何が起きているかというと、図左の赤と黄色の部分がβ波です。
瞑想時には、視床と呼ばれる部位が働き他のシグナルの侵入を阻止することで、集中力を高めます。
それにより脳が情報処理を行っていることを示す「β波」が減少するそうです。この減少傾向は、生まれてはじめて瞑想を行った人にも見られるそうです。
またこのリファレンスでは約20分の瞑想で効果が出ると述べられています。
(参照3)
瞑想のような目を閉じて呼吸だけに意識を向けることで脳の情報処理を止めることが訓練できるということなんですね。
瞑想をすることで、
情報処理を止めストレスの原因になるβ波を減少させることができ、
集中を高めるα波とθ波を高めることができるなんて
まさに一石二鳥の集中力を上げる最強の武器ですね。
3. 瞑想って何?やり方は?
瞑想のやり方は非常に簡単。
目を閉じて7秒間隔で深く呼吸をするだけ。
大事なのは、その呼吸だけに意識を向けるようにすることです。
最初のうちは、いろいろ考え事をしてしまいますが、そこでまた呼吸に意識を向け直すという行為が非常に大事であり、集中の訓練になります。
常に7秒を頭の中で数えながら行うと他のことを考えずに済むので、
数をカウントしながらの呼吸はおすすめです。
着々と「集中力ルーティーン」を作り出す要素が揃ってきましたね。
次でいよいよ最強ルーティーンを考えていきましょう。
4.実践編
集中力とはなにか、そしてそれが瞑想で高められることがわかったところで、
本題であるより集中力を高める最強ルーティーンを考えていきましょう。
ここまでの流れでだいたい予想はつくと思いますが、
結論、呼吸を使ったルーティーンを行うのが、
より集中力を高める上で効果のあるルーティーンになります。
呼吸を使った瞑想には、β波を抑え、θ波α波を強める効果があるため、
集中力の正体である「余分なものの排除」と「タスクへの注目」を両方達成します。
はっきり言って最強です。
そしてそれをどうルーティーンに組み込んでいきましょう。
まず試合前のルーティーンには3つの種類が有りましたね。(記事6ルーティーン参照)
- 本番を待っているときに行う『ウェイティングルーティーン』
- 本番直前に行う『プレ・スタート・ルーティーン』
- プレー直前に行う『プレ・パフォーマンス・ルーティーン』
招集所やベンチで待機するウェイティングルーティーン時はゆっくり瞑想のような深呼吸、
スタートラインに立つプレスタートルーティーン時も、立ったまま短めの瞑想のような深呼吸、
スタブロについたプレーの直前は、スタートラインに手を付く前に一息深呼吸するなど
それぞれルーティーンの段階に合わせて呼吸の長さなどを変えれば一貫して「呼吸」という最強のルーティーンを使うことができると思います。
スタート前プレー直前のルーティーンにこだわりを持っている人でも、
・深呼吸と同時に肩を上げて一気に下ろす
・深呼吸と同時に手を前に伸ばして自分のレーンだけを見る
・深呼吸と同時に胸に手を当てる
等色々アレンジができそうで使い勝手がいいですね。
そしてルーティーンという行為自体普段やっている動きの延長を試合の時にも行う一貫性で集中力を担保しているものでした。なので「呼吸」というあらたなルーティーンも普段から練習しておく必要があります。
習慣の力を活用し、一日10~20分を最低でも3週間行うと人間は意識していたものからある程度無意識にその行為を行うことができるとある実験でわかっています。(記事5 無意識理論参照)
なので最低でも試合の3週間前から深い呼吸を意識した瞑想を練習の一環に取り入れるだけで、あなたは試合当日に集中力を高める技術を手に入れることができるでしょう。
それも一日10分~20分で。
やるしかないですよね。
ぜひ自分の力を100%引き出す「集中力」を身につけたいのであれば、
今から10分の瞑想を始めてみましょう。
5.瞑想におすすめの無料アプリ
メンタリストダイゴ監修の瞑想アプリ【メントレ】
タイマー機能・合計時間記録機能が有り、日々の瞑想トレーニングの補助から自分がこれまでどれだけやってきたのか確認ができます。また称号機能もあり総合計時間に連動して「僧」や「仙人」などの称号がつくので続ければ続けるほどモチベーションが続きやすいゲーム要素もあります。
筆者もいつもこれを使って瞑想を続けています。まだ下から2番めの「入門」ですが笑
Realx Meditaiton : 瞑想とマインドフルネス
豊富なα波のサウンドが非常に魅力的。数多あるBGMを自分でカスタマイズ組み合わせして流すことができます。さまざまな瞑想プログラムが有り、初心者は用意されたプログラムにやり方をサポートしてもらえるためおすすめです。
筆者は普段作業集中用のBGM用に使っています。
以上の2つがおすすめなのでぜひ自分ひとりでできる不安がある方ややり方をもっと詳しく知りたい方は、ダウンロードして使ってみてください。非常に良いですよ。
6.まとめ
- 集中とは「余分なものの排除」と「タスクへの注目」
- 集中できている時に出る脳波がα波とθ波
- 脳がストレスを感じたり情報処理を行っていることを示す脳波がβ波
- 瞑想でβ波は著しく下げることができる
- 「呼吸」がルーティーンには最適
- 20分の瞑想ができるように訓練をつもう
【参照】
1 Bloomberg Businessweek “How to Concentrate” Roy Baumeister https://www.bloomberg.com/news/articles/2011-09-21/how-to-concentrate
2 Fringe IT社長のブログ 集中と脳波
3 Free Meditation best meditation resources “Calming the mind” Ozge Ozkaya
http://www.freemeditation.com/articles/2009/09/10/calming-the-mind/
日本語版記事https://www.lifehacker.jp/2013/09/130904brain_meditate.html
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