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伸張反射を使えるようになるドリルその②

1.身長反射を利用した走りとは何か?

2.伸張反射を使った走りができるようになるドリルその②

3.まとめ

前回の記事では伸張反射を使えるようになるドリルその①という内容で、伸張反射が使える様になるドリルを書かせていただきました(記事はこちら!)。今回の記事はこちらのシリーズの第二弾です!

①伸張反射を利用した走りとは何か?

このシリーズでは「伸張反射」を利用した走りが非常に重要であるということを紹介しています。伸張反射とは、筋肉が引き伸ばされることによって、力を入れる意識をしなくても素早く筋肉が収縮する現象のことを言います。伸張反射を利用することで「反発と伸展を活かした走り」をすることが可能になり、ストライドとピッチを最大限高めることができます。「反発と伸展を活かした走り」についての詳しい解説に興味のある方はこちらの記事を是非是非読んでください!!

足が速くなる方法より仕組みを考えよう。

「伸張反射を利用した走り」にはそのほかにもたくさんのメリットがあります!「伸張反射」という身体の仕組みを使うことで、無駄な力を使わずにトップスピードを維持したり、地面に素早く大きな力を伝えることが出来るようになります!もっともっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!そこに全てを置いて来た!

乗り込み?腰を乗せる?それって結局何?

②伸張反射を使った走りができるようになるドリルその2<中級編>

こんなメリットばかりある「伸張反射」ですが、体得するのは非常に長い時間とコツが必要になります。走りが「ハマった」「ハマってない」のほとんどの要因がこの伸張反射の精度に左右されています。どれだけ速いトップレベルの選手でもスランプにはまるように、この伸張反射の技術は非常に高度なものになります。

そんな難しい伸張反射ですが、ピッチやストライドを伸ばしタイムを速くするためには必ず抑えておきたい技術になります。ここからは伸張反射ができるようになるためのドリルや解説をするためのドリルについて解説していこうと思います。

今回は<中級編>ということで、①の「基本編」で紹介した練習を少し発展させ、より走りに近づけた動きに落とし込むための練習をご紹介したいと思います。まずはこの基本的なドリルをマスターできるように取り組んでいきましょう。

これらの伸張反射ドリルを行うときは、必ず最初に「伸張反射ポーズ」を確認するようにしてください。

伸張反射ポーズの作り方(腰の高さとパワポジ作り)は、前回の記事にも書いてありますが、一度おさらいをしておきます↓↓↓

伸張反射をうまく行うためにもっとも必要なこと、それは「伸張反射を最大限引き出すための姿勢」を覚えることです。まずはこの伸張反射をもっともうまく引き出すための「伸張反射ポーズ」をマスターするための練習を行います。この「伸張反射ポーズ」をマスターするだけで、ピッチ、ストライドを向上させることができます。

伸張反射ポーズで意識する点は2つです。①骨盤の前傾を維持しながら、あげられる最大の高さを常に維持すること。②足を一歩だけ前に出し、腿裏が伸びる姿勢を取ること。

この「腰の位置(重心)」と「骨盤姿勢」、「筋肉の伸張反射」によって反発が生まれ、ピッチとストライドが向上します。反発について詳しく知りたい方はこちらの記事を是非とも読んでみてください。

反発を受ける走り方〜練習トレーニングとドリル編

伸張反射ドリルを行うときは、この姿勢を常に意識しながら行いましょう。

伸張反射ポーズのおさらいが終わったので、本題に入りましょう!

足上げLV1

今回まず紹介するのは、こちらのドリルです。名前なんていうんですかね?笑 

みなさん一度はやったことがあるであろうアレです。ここでは仮に「足上げ」と呼ばさせていただきます。

今回紹介する「足上げ」は少しいつもと違います。今回は「伸張反射ポーズ」の意識を取り入れた「足上げ」を紹介させていただきます。

「伸張反射」について前回詳しく説明をさせていただいた通り、伸張反射を使うためには「筋肉のストレッチ」が必要不可欠です。要は、筋肉を意図的に伸ばしてあげることで伸張反射を起こそうと言うのが狙いです。

こちらの「足上げ」をすることによって、より動きの中でこの「伸張反射」を意識しやすくなります。

この足上げは、「動的ストレッチ」を行うための練習で、脚裏、主に腿裏の筋肉を中心にストレッチする狙いのある練習です。この練習で腿裏の筋肉を引き伸ばした状態を作りながら伸張反射走りの感覚を体得していきます。

以下、感覚や注意ポイントをまとめた図となります。↓↓↓

今回紹介する足上げについて、注意すべきポイントが大きく分けて2点あります。

伸張反射とは、簡単に言えば「筋肉がストレッチされることによって、ゴムのように筋肉が縮む現象」です(※かなりざっくり話しています。より詳しく知りたい方は前の記事をチェックっ!!)。

乗り込み?腰を乗せる?それって結局何?

つまり、この伸張反射を起こすためには「筋肉をストレッチさせる場面」と「収縮させる場面」の2ポイントがあります。

今回の足上げの中でもこの2つのポイントについて意識的に取り組んでいきます。上図①は足を上げる場面、つまり「腿裏の筋肉がストレッチされる」場面です。そして②が脚を振り下ろす局面、つまり「腿裏の筋肉が収縮する」場面です。この2つの切り口で注意点と意識を説明していきます。

①の場面では、脚を振り上げ腿裏の筋肉がストレッチされるのと同時に「伸張反射ポーズ」を意識しましょう。ここで注意すべきポイントは「骨盤の前傾」と「腰を地面と垂直の方向(真上)に持ち上げること」です。前回の記事で書かせていただいたポイントと全く同じですね。図の①のように、脚を振り上げたのと同時に骨盤前傾と腰を持ち上げるのを意識してください。この時、接地足のかかとが少し浮くくらい腰を真上に持ち上げます。こうすることで振り上げ足の腿裏がしっかりとストレッチされます。

②の局面では図のように2つのポイントに注意します。

1つ目は骨盤を前傾しながら腰を少し高く上げることで前傾を作ることです。これも伸張反射ポーズの基本姿勢の意識と同じです。骨盤を前傾させながら腰を地面から垂直方向に持ち上がっているのを意識すると、自然と前傾になる&腿裏がストレッチされます。この状態で接地すると力が入るので、この姿勢をしっかりとキープしましょう。

2つ目は「脚を自分から振り落とさないこと」です。図にあるように、接地するまでは振り上げ脚の股関節を畳み続けるよう意識し、自分から落とさないようにします。伸張反射によって力が入っていほしいタイミングは、地面に足が接地した瞬間です。つまり、足が接地するまでは出来るだけ腿裏、大臀筋がストレッチされていなければいけません。脚を自分から振り下ろしてしまうと、腿裏、大臀筋の緊張がほぐれた状態で足が地面に接地してしまい、伸張反射が起こらなくなってしまいます。せっかく腿裏がストレッチされた状態を脚を振り上げ腿裏がストレッチされたら、図のように腰を高く持ち上げ、前傾を作ることで地面に脚がつくように意識して行います。

足上げLV2

次に紹介するのは「足上げ」を発展させた「足上げLV2」です。

LV1の時よりも、より走りに近い形になります。まず振り上げ脚は軽く膝をおった状態で振り上げます。これは走っている時に膝をまっすぐ伸ばしながら振り上げる局面がないからです。また、振り上げる高さもLV1の時よりも低くなるようリラックスして振り上げます。これも走りの局面で無理して脚を高く上げる局面がないため自然な振り上げを意識します。

このドリルで気をつけることはLV1と同じです。

①の場面では、脚を振り上げ腿裏の筋肉がストレッチされるのと同時に「伸張反射ポーズ」を意識しましょう。ここで注意すべきポイントは「骨盤の前傾」と「腰を地面と垂直の方向(真上)に持ち上げること」です。振り上げ脚のハムが引き伸ばされるように意識して行いましょう。

LV1と違ってLV2でより意識しなければならないのは身体の前傾です。LV1では脚を高く振り上げるため腿裏のストレッチを感じやすいですが、LV2になると自然な高さまでしか脚をあげないため、腿裏のストレッチを感じづらくなります。脚が高く上がらなくても腿裏のストレッチを産むために「伸張反射ポーズ」を意識した前傾角度をより深くする必要があります。そのため、LV2の足上げはLV1の時よりも前傾した状態を意識しながら行ってください。前傾を作るために必要な意識は「骨盤を前傾させながら、腰を垂直方向に高く持ち上げる」ことです。

②においても意識はLV1と同じ意識で行います。股関節を畳みながら、骨盤の前傾をキープしながら足が自然に接地するのを待ちます。腿裏が伸びるのをしっかりと感じながら接地を待ちます。

足上げLV3

このLV3から走りの動きにかなり近づいてきます。

①の局面は、同じように脚を振り上げた後に骨盤の前傾と高さを保つことを意識します。

LV2までと大きく違うのは、「前に体を進めながら行う」点です。前への推進力を生むために、脚を大きく前に振り出します。はじめのうちは、意識的に前に振り出せるよう動画のように手を使ってしっかりと前に振り出せるようにしてみてください。手を使う場合、動画のように手と手を組んで足のしたを通します。この時この手で作った輪っかを出来るだけ「前方向に」作ることで、膝が自然と前方向に出てきます。足が前に出てこないと、腿裏、お尻の筋肉がストレッチされないので、初め慣れないうちは手を使って丁寧に脚を前に出していきましょう。

振り脚を前に出すのと同時に、逆の足でも地面を押し身体を前に押し出します。脚で地面を押す時のコツは、上図①にも書いてあるように、脚で地面を押そうとせず腰、腰を地面から垂直方向に持ち上げるイメージを持つことです。腰を持ち上げることで勝手に爪先立ちになり、結局押し込めている、という感覚を覚えられるように取り組んでみてください。に持ち上げる感覚で進むことです。腿裏の筋肉のストレッチをしっかり感じられるように行ないましょう。

②の局面でも、基本的にはLV2と同じことを意識します。骨盤の前傾をキープし股関節をたたみ、自然と足が接地するまで腿裏がストレッチされた状態で接地の準備を行ないます。

LV3で大きく違うのは、LV2の時とは違い、両足が空中に浮いている時に伸張反射ポーズを作らなければいけない点です。実際の走りと同じく空中での動作を意識しなければいけなくなります。体が空中に浮いても伸張反射ポーズが取れる&脚を自分から振り下ろさないようにコントロールしましょう。

また、今回の動きは走りに近い動きになります。よって、身体の前傾具合もより深くなり本番の走りのような動きに近づきます。空中で不安定になったとしても、脚は自分から振り下ろさず、前傾によって腿裏を伸ばし、接地に備えてください。

接地する瞬間まで腿裏が伸ばされる体勢をしっかりとることを意識しましょう。うまく腿裏が伸ばされなくなってきたと感じたら、伸張反射ポーズを作り直してください。骨盤の前傾、腰の高さ、脚を少し前に接地するイメージ、これらのいずれかが欠けるだけでこの伸張反射を利用することができなくなります。

③まとめ

今回は伸張反射を用いたドリル中級編を紹介しました。

今回は前回に比べて格段に難しくなりました。しかし走りはこれらの動き1つ1つを組み合わせることによって、1歩1歩の乗り込み、そして反発が大きく改善されます。

以上脚上げLV1 2 3のなかで伸張反射の感覚を掴み始めたら、積極的に走りの中に落とし込んで行ってください。ドリルを行うだけではなかなか走りの中には結びついていきません。これらのドリルの中で掴んだ感覚を流しなどの中で積極的に取り込んで行ってみて下さい。地道に取り組むことで必ず動きは変わります。

伸張反射を行う際もっとも注意したいのは、腰の高さが低くなり負荷なく乗り込めず肉離れをすることです。なので、「腰の高さだけは絶対に落としてはいけません」。伸張反射はうまく利用できればタイムを大きく縮めることができ流一方で、筋肉を大きく伸縮させることで筋肉には大きな負荷がかかります。一歩間違えれば大きな怪我に繋がってしまうので、「筋力強化」と「正しいフォーム」をしっかりとみにつけましょう。

それではまた!

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